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個別指導・実体験から生まれた最強の勉強法
今回の記事でお伝えする「セルフレクチャー」勉強法は、大学受験国語のプロ講師としてオンライン個別指導をする中で培った非常に実践的な方法です。有効に実践できれば、独学でも現代文の成績を「爆上げ」できると思います。
実際、この方法を取り入れた生徒は難関大学に合格しています。私自身も、仕事と並行して法律系国家資格試験に最近臨みましたが、この方法で勉強することで高得点を取ることができ、絶大な効果を実感しているところです。
現代文以外の科目にも汎用性の高い勉強法ですので、ぜひ試してくださいね。
脳に負荷をかける勉強をしよう
国語の指導をしているとよく聞かれる質問の一つが「良い参考書・問題集を教えてください」というものです。
この質問をする人は、残念ながらそのまま成績が伸びづらいです。大事な視点が欠けているからです。
何をやるか、よりも、どうやるか、が一番大事なんです。つまり、題材は極論なんでも良いということになります。
「良い問題集」に頼りたがる人は、「脳に負荷がかからない」、つまり「疲れない」勉強に陥りがちです。
筋トレで考えていただければ分かると思います。1kgのダンベルを毎日上げていても、いつまで経っても重いダンベルを持ち上げられるようにはならないですよね。筋肉にきちんと負荷をかけて、しっかりと疲労するトレーニングをしなければいけません。
現代文の勉強でも同じです。「疲れない」勉強とはこのようなものです。
・選択肢形式の問題をなんとなく解く
やってる人が多いと思いますが、これは負荷の低い勉強法です。選択肢形式の問題は、あらかじめ答えが選択肢に書かれていますから、なんとなく選ぶだけで正解になったりします。
⚪︎か×かを選ぶだけの問題を、「クローズド・クエスチョン」と言います。これはお勧めしません。後述する「オープン・クエスチョン」こそが負荷が高い、良い問題です。
・わかりやすい解説を読んで分かったつもりになる
いわゆる「良い問題集」とは、解説がわかりやすいものを指すと思います。本文が非常に噛み砕かれて説明されているものです。
しかし、それを読んで理解するだけなのは、頭を使わない「負荷の低い」勉強です。
大事なのは、「本文を自分で噛み砕いて説明できるレベルに理解できるか」です。
このような勉強法をしている方は、今すぐ改善することをお勧めします。
現代文の本質とは?
現代文の本質は、「速く」「正確に」「文章のポイントを押さえる」ことです。つまり、「要約力」が求められる能力です。
「要約力」があれば、厳しい制限時間内に問題を解き終えられますし、適切な選択肢(=本文の要約となっている肢)を選ぶことも、記述式問題の解答を簡潔にまとめることもできます。
ですので、この「要約力」が鍛えられているかを指標に、勉強法を見直してみてください。
鍛える部位を意識しないと、筋トレの効果も低いというのと同様です。
「要約力」を鍛えるのに最適な方法が、以下具体的に説明する「セルフレクチャー」法になります。
なお、現代文の要約の方法については、以下の記事でも解説しています。
セルフレクチャーとは?
「セルフレクチャー」とは、「自分で講義する」、つまり「自分が教師になったつもりで、自分に対して教える」勉強法です。
基本的には、勉強した内容をごく簡単にまとめて、小声で口に出して話してみるというものです。
自分で教える=アウトプットのためには、その内容をなんとなくではなく、深く理解することが必要になるため、ただ内容をインプットするよりも何倍も学習効果が見込まれる勉強法だと言えます。
現代文の学習では、問題の本文に書かれている内容を、要約して説明してみるという形になります。
ただ単に、本文の丸写しではなく、自分の言葉で説明することが大事です。
短時間で日々の学習に取り込めますし、現代文ととても相性の良いやり方です。
セルフレクチャーのメリット
要約力の向上
セルフレクチャーをすることで、現代文で最重要の「要約力」が身につきます。短時間で文章の内容を説明するためには、文章のポイントを掴む必要があるため、必要に駆られて内容をまとめていく良い訓練になります。
自分の理解不足の洗い出し
現代文ができない生徒は、「本文のここを説明してみて」と言っても、ただ本文をオウム返しに繰り返すだけということが多いです。自分の言葉で言い換えて説明できるレベルまで理解しないと、本当に文章を理解しているとは言えません。
セルフレクチャーをやってみると、自分が理解したつもりで実は理解できていない部分が明確になります。その箇所を見つけたら立ち止まって、本文に戻って考えることで、思考力が養われていきます。
ワーキングメモリの強化
文章を自分の言葉で筋道立てて説明するためには、脳内に一時的に本文の情報を保存して、整理しておく必要があります。この時に用いる脳の機能を「ワーキングメモリ」といいます。
ワーキングメモリは、普段からたくさん使うことで鍛えていくことが可能な脳の機能と言われています。そして、この機能こそが現代文の問題を解いていく上でとても重要になっていきます。
本文を読んで理解しても、設問を解くときに、本文の情報を忘れてしまっては元も子もないですよね。
本文の情報を整理して脳に一時保存する力を、セルフレクチャーを通して鍛えることができます。
セルフレクチャーの具体的な方法
説明のための下準備をする
セルフレクチャーを行う前に、当然ですが本文を読みます。
これはやってみるとよく分かると思いますが、本文を読む時に、「この後自分で説明しなければいけない」という意識で読むことで、文章との向き合い方が全く変わってきます。理解度と文章に対する記憶の量が大幅に増していきます。
そして、セルフレクチャーのために必要な準備をしていきます。具体的には、
・知らない単語について調べておく
・自分の言葉で説明したいところに簡単にメモする
・ポイントに下線を引く
どんな教師も授業前に下準備をしますが、それを自分でやってみるんですね。
そしてこの下準備は、実際に問題を解く時にそのまま役に立ちます。
線の引き方、メモの取り方については、以下の記事で解説しています。
本文を見ないで、声に出して要約をする
いよいよ、セルフレクチャーです。できれば、本文を見ないで、問題集から目線を上げて説明してみましょう。ただし、完璧には難しいので、本文チラチラ見るのはオッケーです。
なるべく本文を見ないで説明することで、ワーキングメモリがより鍛えられます。
本文は文語調で書かれていることが多いですが、可能な限り、口語調で説明することがお勧めです。
普段自分が話している話し方で構いません。それくらい噛み砕いた説明ができるレベルになりましょう。
本文を最初から最後まで、ダラダラとした部分を省いてセルフレクチャーしていきましょう。
慣れてくれば、「問題提起」「主張」「理由」「結論」など、構成を考えて、プレゼンするようにしてみてください。面白くて納得してもらえるような話し方ができれば最強です。
何も知らない人に説明するつもりで
誰かに話しかけているつもりでセルフレクチャーをやってみてください。理想は、相手が小学生高学年くらいだと仮定するべきです。
そうすると、自分が理解できていない箇所が明確になります。
例えば、「資本主義」という言葉は大人に対しては通じますが、子どもに対しては伝わらないですよね。
「資本主義」という言葉の意味を、子どもに分かってもらえるレベルで理解しておくことがゴールです。そのためには、先ほど述べた通り、下準備の段階で意味をしっかり調べる必要があります。
意外と難しいですよ。とても脳に負荷がかかります。
時間を測って行う
だらだらと最初から最後まで本文を読み上げるのはダメです。それはただの「音読」です。
時間制限の厳しい共通テストなどの本試験に立ち向かうためには、普段から時間を意識して勉強することが大事です。
ただ、問題の文章によって、必要な時間は様々ですから、セルフレクチャーする時は、ストップウォッチで時間を測りながらやってみてください。
そして時間を毎回記録しておきましょう。
設問に対して選択肢を見ずに答える
本文のセルフレクチャーを終えたあとは、設問に取り組みましょう。
先ほど述べた通り、4択などの選択肢問題は「クローズドクエスチョン」と言って、学習効果が低いです。
なので、まずは設問を見たら(例→「傍線部に〜〜とあるが、どういうことか」)、選択肢を見ずに自分で答えを考えて、セルフレクチャーしてみましょう。
これを「オープンクエスチョン」と言います。丸かバツかで答えるのではなく、自分の言葉で説明する負荷の高い問題です。
自分で説明をし終えたら、その後は選択肢を見て構いません。
選択肢を見てみると、今までより正解が素早く見つけられると思います。
これによって、消去法の解き方を脱却して、積極的に答えを導くことができるようになります。
誰かに説明するのがベスト
セルフレクチャーよりもさらに有効な方法が、自分以外の誰かに実際に説明をすることです。
実際、私も資格試験の時は小難しい法律を家族に対して講義していました。
自分一人では素人目線に立つことはとても難しいので、とても良かったです。
自分一人で講義するよりもより緊張感があり、記憶や理解にも有効です。
何より、レクチャーの後に質問をしてもらうことで、自分でも分かっていない部分がさらに見つかります。
周りの方の協力が得られないとできない方法ですが、効果はかなり期待できます。
まとめ
セルフレクチャーについて理解していただけたでしょうか。とても負荷のかかる勉強法ですが、そのぶん頭を使うため、なんとなく問題を解きっぱなしにするよりもはるかに学びがあります。
元々、個別指導の中で培った勉強法の一部ですので、一人で実践するのが難しい方はオンライン個別指導も検討していただけると良いかと思います。
個別指導であれば、フィードバックが得られますし、より鋭い質問を投げかけたりもできます。
解説がない過去問についても、この方法を実践しやすい環境が手に入ります。
最後は宣伝のようになってしまいましたが、ぜひ試してみて現代文を得意科目にしてくださいませ。
ではでは。
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