大学受験現代文・小論文の要約のコツ・一文要約法を東大卒オンライン家庭教師が解説【参考書不要】

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こんにちは。オンライン家庭教師「飛ぶ教室」講師のけんです。
今回は現代文・小論文入試で要約問題の対策に困っている方に向けて、要約のコツと勉強法を、東大文学部で訓練を受けた講師が解説していきます。

結論から言うと、まずは自分が要約なんてできないということを自覚した上で、【一文要約法】というメソッドを使って練習をするべき、ということになります。では早速。

要約ができない3つの理由

大学受験の要約問題は、特殊です

要約が出題される志望校の入試過去問を既に解いた方はいるでしょうか?
まだ解いていない方はぜひ確認していただきたいのですが、大学受験の要約というのは、実は要約の中でも異常に難しいです。

というのは、一般的に必要とされる要約よりも、要求される圧縮率がとても高いからなんですね。

例えば、比較的長文で要約が求められる慶應大学や一橋大学でさえ、近年の要約課題を見てみると、
慶応大学では6000文字程度の文を360字以内に、一橋大学は3500字程度の文を200字以内に、つまり文章を元の文章と比べて6%程度の長さにしなければならないのです。

こんな能力は大多数の大人にはありませんし、要約を教えられない高校生にはあるはずもないのです。

さらに、ここまでの要約力は大学に入ってもほとんどの人は求められません。

文系学生だった私の例では、ゼミで先行論文のレビューを作って発表する際に要約が求められましたが、20ページの論文を5枚程度の紙にまとめる程度で、それぞれの段落を1から2文にまとめて、本文の流れを損なわないことが重要でした。

そうしておかないと、他の学生や教授がもとの論文と比べてチェックできないですし、なにより議論の流れが厳密に論理的かどうかが、文系の研究では一番大事ですからね。6%に圧縮してしまったら議論の流れも何もなくなってしまいます。

という訳で、かなり高度な(しかもあまり要らない)技術が大学受験では求められていることをまずはおさえておいてください。

長くて情報量の多い一文を書けない

もう一つ、「要約ができない」と困っている受験生の多くが抱えている本当の問題は、要約をする以前に、長くて情報量の多い一文を書くことができないということです。

Twitterばかりやっている人はとくに要注意ですよね。感想文が得意な人や、普段から文章を書きなれている人でないかぎり、そもそもたくさんの情報量を詰め込んだ一文が書けないんです。

私の好きな小説の冒頭から、長くて情報量の多い一文を紹介します。

長い歳月が過ぎて銃殺隊の前に立つはめになった時、
恐らくアウレリャーノ・ブエンディア大佐は、
父親に連れられて初めて氷という物を見に行った、
遠い日の午後の事を思い出したに違いない

ガルシア=マルケス著 鼓直訳『百年の孤独』(新潮社)

この一文の中から、主人公・将来の結末・過去の記憶・語り手の視点など、たくさんの情報が読み取れる、ワクワクする一文ですね。

このレベルは求めませんが、まずは長い文を書きなれないと要約はできるようになりません。

上達しないダメな勉強法をしている【図解は危険】

巷のサイトや参考書では(と書くといかにも偉そうですが)、要約問題を解くときに、本文の中にたくさん線を引いたり、接続詞にマルをしたり、その線同士を矢印でつないだりして、「論理の流れ」を部分的に引き出す方法がよく紹介されています。

私見ですが、この高度な方法で要約ができる人は(少なくとも受験の)天才だけではないでしょうか。私はできません。

そもそも、この方法で論理の流れを把握するのは、ある意味で遠回りです。というのも、普通の現代文の著者は「論理の流れ」を、文章を段落ごとに分けることで表現しているからです。
流れを把握するのにわざわざ段落を用意してくれているのに、わざわざ色んな線を引いて文章をさらにわかりにくくする必要はありません。

王道だけど気づきにくい上達法と、注意事項4選

要約ができない理由がわかったので、対策を考えていきましょう。
需要が少ないため、要約の参考書も良質のものはあまりないですし、添削を頼れる人が身近にいなければ心もとないですよね。
そんな方も、まずは私の考えた【一文要約法】を試してみてください。

一文要約法

これまで考察したように、要約問題ができないのは、いきなり圧縮率の高い要約に取り組もうとするからなんですよね。

ということは、いきなり過去問や問題集のような、全文を200字にまとめるような無理ゲーに取り組まず、その前段階で肩慣らしをした方が当然いいわけです。

そのためにおすすめしたいのが、【一文要約法】というシンプルな要約練習です。

題材は志望校の過去問でもなんでもかまいません。が、添削をしてくれる人がいない場合は、解説のところに本文の要約が載っている現代文の問題集を探してくるといいでしょう。

そこに掲載されている、現代文の文章を、1段落ごとに1文で要約してください。
12段落あれば、12文でまとめるといった具合で、これならできそうですよね。

どうしても1段落が長すぎるときは、2文までならOK、とルールを決めておきましょう。

念の為、次のページの最後の方に一文要約の例があるので不安な方は見てみてください。(早稲田なので難易度高めですが…)

注意事項① 独立した要約文を作ること

要約においてもう一つ重要なルールですが、必ず要約だけをみて理解できる文章を心がけてください。
本文を見なくても本文の主張が大体分かる、独立した文章ということですね。
この視点が欠けている受験生がかなり多いですが、入試でも同じく大事ですよ。

自分にだけ分かる文章や、採点者も同じ本文を読んでいる前提で要約を書くのは絶対NGです。
具体的には、例えば本文の著者が独自に作った用語があるとき、その用語をなんの説明もなく使ってしまうなど。

常に読者の視点で文章をチェックしてくださいね。

注意事項② 指示語を正確に使うこと

「それ」や「これ」などの指示語が、漠然としていて何を指すかわからないのもNGです。
現代文で出てくる指示語は、基本的には必ず直前に出てきた具体的な名詞句・名詞節を指していると思ってください。

それ(具体的な名詞句・名詞節)を特定しないで、本文に「それ」と書いてあったという理由でそのまま要約に書いてしまう人は、本文のコピペで要約を作ったことにしていることが多いです。
それぞれの段落の1文目をそのまま抜き出しているパターンです。その結果、前の段落の最後の文の名詞を見落としてしまい、「それ」が指す対象を要約に含めないという失敗を犯すのです。

採点者に必ずバレるので、やめてください。理解していない感が印象悪いですし、「この人は入学してもコピペレポートを作るんじゃないか」と思われますよ。コピペレポートは最悪の場合退学になります。

注意事項③ 要約=抽象的な文章ではない

要約の問題集をかじった人に多い失敗ですが、要約を「抽象的に文章をまとめること」と誤解してしまっています。

実際はその真逆で、要約にはなるべく具体的な情報を含んでください。抽象的な文章では説得力もくそもないですし、具体的なことについて伝えたい文章の醍醐味が全部なくなります。

例えば、本文中で他の人の文章が引用されているとき、その人名を省略していないでしょうか?
年号や、固有名詞を省略していないでしょうか?

文字数的にやむを得ない場合もありますが、先程述べたとおり、要約では、長くてかつ情報量の多い文を書くことが肝要です。詰められるだけ詰め込んで、説得力をつけましょう。

注意事項④ 接続詞は自分でつくるもの

コピペ要約を作ってしまう人や、本文の接続詞をとりあえずマークする人に多い失敗が、接続詞をそのまま抜き出してしまうことです。

要約では当然、本文の情報を切り捨てざるを得ないので、接続詞をそのまま使うと、要約文ではしっくりこないことが非常に多いんですよね。要らない接続詞は削除しましょう。

一方で、現代文の良い文章は、実は接続詞は省略されていることが多いです。良い文章では、流れに沿って読めば、接続詞がなくても文章の繋がりがわかるものなので、無駄に接続詞を書くのは粋じゃないんですよね。

この場合は、要約にするときは情報量が少なくなるために、流れが分かりづらくならないように、逆に本文にない接続詞を自分で考えて、逆に新しい接続詞が必要なときはどんどん付け加えましょう。

接続詞の削除・追加ができるようになれば、要約中級者です。

【速読編】段落を俯瞰的に見る「メタ認知」

私のオンライン指導では、要約問題が出題されない受験生にも、要約の練習をしてもらっています。

要約にチャレンジすると最初に気づくことは、自分がいかに本文を理解していないか、ということです。書いてみて初めて、よくわかっていない箇所が明確になります。

特に、現代文を速読するために要約力は必要で、中でも重要な力は、心理学でいう「メタ認知」、つまり、「自分の認知活動を客観的にとらえること」です。読解の場合で言えば、「この段落はどういう意図で書かれているか把握すること」になります。

初歩的な例では、「この冒頭段落は読者の興味を引くためのエピソードだ」、「この段落は問題提起だ」「この段落は具体例だ」「この段落以降は対比される内容が〇〇と△△に変わっている」「この段落での著者は主張に自信がないのでごまかしている」など、直接書かれていない情報を把握することが「メタ認知」的な読解法です。

要約にも、速読にも、この段落ごとの位置づけを言語化するステップが上達には欠かせないのです。

初めは難しいですが、一文要約法を地道に続ければ、いやでもできるようになります。
メモを取ったり、頭の中での独り言でもよいので、やってみましょう。

まとめ

以上のように、
・自分の要約力を過大評価しない
・長くて情報量のある一文を書く力をつける
・独立していて、明確に指示語を使っていて、具体的な情報を盛り込んでいて、接続詞を自由に追加・消去している要約を心がける
・メタ認知をフル稼働して読解する
という点を意識して、【一文要約法】を意識していけば、この文のように長くて情報量の多いまとめを書けるようになり、結果として難易度の高い入試問題にチャレンジできるようになります。

問題集の模範要約と比較する自己添削でもよいですが、最短で最適な上達はやはり、誰かに添削してもらうことです。

当「飛ぶ教室」でも、全国の受験生にむけて英語国語小論文の要約をオンライン指導しておりますので、ご希望の方は当サイトから無料体験にご応募ください。

ではでは。

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