※奇を衒ったような指導方法は何もありません。地道な読解と解法演習が中心ですのでご理解ください。また、高校生にもなって自習が自律的にできない方、正直合格が厳しいのでご遠慮ください。
指導の概要
大学受験国語(・英語)の完全1対1オンライン個別指導と自習アドバイスをハイブリッドで行います。個別指導授業についてはその時々に必要な科目を見定めて適宜行っています。
マンツーマン授業
- 難しいことを難しいままわかりやすく
- 知的好奇心重視
- 対話を通して言語化技術を習得
- 背景知識のネットワークを武器にする
難しいことを難しいままわかりやすく
受験ビジネスによって、国語の学習も「段階的学習」説が広められていますが、実際にはいくら平易な文章を読んでも、難関大で出題されるような高度な文章は理解できるようになりません。書かれている内容も書き方も、全く異なるからです。簡単な文章に取り組んでも、じっくりと思考する力はいつまで経っても育めないのです。
そのため「飛ぶ教室」では、最低限の語彙・漢字が身についている生徒には、過去問などを利用して本番レベルの文章に取り組んでいただいています。
こう聞くと、とても自分には読めないと感じる方もいるでしょうが、実際に中学3年生と東大・京大の過去問に取り組んでみても、「意外と」理解できていますし、毎週の授業がとても楽しいと言う嬉しい感想ももらっています。
まずは思いこみを取り除くことが重要です。教師の適切な助けがあれば、どんな文章でも挑むことができます。
知的好奇心重視
大前提として、時代遅れのスパルタ的な指導はやりません。叱ったり抑圧的な方法を取っても意味がないですし、そのようにして難関大学に合格しても後々精神的にうまくいかなくなります。性格的にもスパルタは指導できません。
代わりに現代文中心に生徒の好奇心を引き出す指導を心がけています。そう書くと小学生向け塾のような雰囲気が漂うかもしれませんが、小学校程度の勉強で知的好奇心が湧くような内容は少ないのではないでしょうか。むしろ適切に教えられていないだけで、大学の学問的思考の入り口である大学受験国語の方が、取り組み方次第でよっぽど知的好奇心を持たせられるので、知的好奇心を軸に自然と学習ができるようになると考えています。
そうして大学に合格したのち、自分の興味をさらに深めたいという動機が持てる人が、大学での研究や社会でうまくやっていけるのだと思っております。
対話を通して言語化技術を習得
現代文の授業を例に、一般的な集団授業や個別指導との違いを考えます。
普通の授業では、文章の文の流れ、対比や言い換えがどうなっているかを講師が解説していくだけのことが多いですが、マンツーマンの利点を活かして貴重な時間をもう少し建設的に使いたく思います。
まず本文を事前に予習していただき、よく分からなかった点を生徒に質問してもらいます。そして質問からどこで躓いているのか炙り出し、授業を構築していきます。
また、分かったつもりになっていることがほとんどなので、講師も事前に準備した上でクリティカルな質問を生徒にたくさん投げかけます。「どう読むか」はもちろんですが、「そもそも」どういう背景でテキストが書かれているのかや、キーワードがどういう意味なのか、なぜこの文章や設問が出題されているのかなど、本質的に突き詰めて理解していただきます。
曖昧な理解は誤解につながり、記憶定着も薄いので、生徒になるべく正確に「言語化」していただき、それをチェックします。「言語化」の技術こそが成績向上の肝で、それを徹底できるのが個別指導の最大の利点です。
ある程度演習量は必要ですが、量より質なため、一つ一つの問題に徹底的に時間を使います。側から見ると進捗が遅く感じられるかもしれないですが、最短の道です。問題集や普通の授業では本文を「読んで終わり」にしてしまいますが、一度扱った文章が他の出題文とどう繋がっているかまで意識してもらいます。
背景知識のネットワークを武器にする
また「余談」という形式で背景知識を伝えることも重視しています。全く関係のない話ではなく、本文と繋がりのある学問的な話題が多く、楽しく聞いているうちに知識の網を広げていただき、受験本番などで「あ、この話は聞いたことがあるな」という状態に持っていけることを意図しています。
本番で全く知らない話題が出題されると、心理的に緊張してしまったりして理解度が著しく低下しますので、「余談」の有効性もご理解ください。
「飛ぶ図書室」のページでは、授業で話す余談に活かしている書籍を随時追加しています。大学に無事入ってから、気が向いた時に受講生に手にとってみてほしいと考えています。
自習サポート
今のところ授業料以外はいただいておりませんが、数百冊の参考書と過去問研究から、各自の自習内容は授業科目以外もサポートします(ご要望の方のみ)。
自習の方法や参考書・問題集の計画は授業時間外でもチャットで質問をいただければ適宜お返事しています。文面で伝えづらいアドバイスや、学習内容自体の質問に対する回答・添削は授業時間中に行います。参考書を全て指定はしません。例えば同じ国語の問題集でも、複数の書籍の特色を提示して、志望校の形式に近いのはこっち、今のレベルだとこっちなど、一人一人に合っているものを提案し、主体的に選んでもらってやる気を引き出します。
講師がつきっきりでアドバイスするので、現在の学力など全体像を把握して見られる点が魅力だと考えています。
指導方針
「飛ぶ教室」では、講師が先人の知恵から学び、考え、そして実践で培った指導メソッドを掲げています。キーワードは「過去問」「現代文」です。
過去問を中心に
大手の予備校・集団指導塾では、どんな大学にでも入れるように受験生に対して画一的なテキストによる授業を行い、過去問は直前に解かせます。これは大きな過ちです。
そもそも、結局一つの大学にしか入れないですし、問題集通りの問題が出ることはほとんどないため、「どこにでも通用するカリキュラムがある」というのは幻想にすぎません。
大学の入試制度も多様化しているため、入試傾向も多種多様です。なので、一人ひとりに合わせる個別指導塾が増えています。
また、「過去問は直前期になってからしか解けない」というのも、これまで合格した生徒を見れば幻想だとわかります。受験校を仮にでも早期に決めて、過去問にチャレンジした生徒が合格しています。当教室では、例えば高3春入塾でも、最初から過去問に取り組んでもらい、一緒に解くことで、「意外とできる」と感じてもらい、やる気向上をサポートしています。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とは孫子の格言ですが、受験でもまさしく、敵=過去問を分析し、自分に足りない部分を認識することが最初から重要です。なので、過去問を一緒に解き、分からないところは全て授業で解消するという作業を常に行なっていきます。弱点を認識した上で、適切な参考書・問題集を提案します。
個別指導塾は数あれど、教材通りにしか進まないところや、生徒が問題を解く時間まで授業時間に含めているところも多いのが現状ですが、当教室では講師も事前に問題を見て、入念に準備して授業に臨んでいます。
現代文を土台に
現代文ができない高校3年生が増えてきています。
生徒の読書量の減少や、学校教育の国語軽視、学校の労働環境悪化による国語教師の読書量減少など、さまざまな要因はさておいても、逆の観点から見れば、受験で差をつけるためには現代文で高得点を取ることが重要になってきているということです。
それだけではなく、現代文の力は小論文・古文・漢文・英語・地歴・数学といった他の科目の成績向上に大きく寄与しています。実際他の科目の授業をしていても、「これは現代文でやったことだけど……」という枕詞で始めることが多いです。
第一に、当教室では、「記号論」という学問的な視点で現代文を教えていて、その立場でみると、現代文・古文・漢文・英語には表面的な違いしかないからです。単語・文・段落・文章という単位でテクストをどう処理するかがどの科目でも問われています。
記号論なんて、学問的にはある種の常識と化しているわけですが、日本の学校教育ではなぜかそれほど取り入れられていないようですね。
第二に、一貫して「近代論」として現代文を捉えている点も特色でしょう。「現代文」ではどんな文章でも取り上げられると思っている人がほとんどですが、そんなことは決してありません。特に難関大学では、「近代」について焦点をあてた文章ばかりが出題されています。「近代論」について、必ずしも受験にとらわれない背景知識を活かして受験生に教えることで、現代文を問題意識をもって解けるようになるだけではなく、地理・歴史といった科目にも俯瞰的な視点が得られ、習得速度が増していきます。
現代文だけや、現代文・古文漢文だけの受講も可能で、それだけでも大きな効果が得られますが、国語系科目を前半期などで底上げし、受験が近づいてきたら英語や歴史科目も受講するなどの戦略も立てられます。
主体的な学びを
授業を受けて問題集をやれば合格できると考えると、どうしても学びが受け身になってしまいます。そして、理解できない問題があると、「恥ずかしい」と感じてしまうものです。
「知らざるを知らずとなす、これ知るなり」(孔子)。知っていることと知らないことを区別することが学びなのですから、恥ずかしがる必要はありません。成績が伸びる生徒は必ず、知らないことをはっきりと認め、質問をたくさんします。そして、文章を主体的に理解するためには要約を作ることが最も効果的です。こうした主体的な学びを「飛ぶ教室」はサポートします。
どうすれば生徒が能動的・主体的に学習できるかについては、他にも当教室講師は技術的な蓄積を有しています。ここですべてはお話しできませんが、少なくともただ単に「手取り足取り」教えるというスタイルではなく、まずは学校教育で常識化している「決まりきった知識がある」という観念を崩していきます。それによって、自分自身で問いを作り、学習できる人になっていただきます。
名前の由来と目指すビジョン
「飛ぶ教室」という名前は、ドイツの作家エーリッヒ・ケストナーの児童文学のタイトルから取っています。
彼はナチス政権下にありながら、正しいこと・周りと違ってもいいということを子どもたちに伝えました。その小説の主人公マルティンのような、才能を秘めた生徒が将来活躍できるよう、地方を問わず学べる環境を作るために当教室を設立しました。
脱常識のみかた
ケストナーの『飛ぶ教室』には、医者をやめ、学校近くの菜園で、廃棄になった禁煙車両の中に住む「禁煙先生」がいます。彼のような変わった人と出会う機会は現代では少なくなっていると感じます。
大学での学びの大半は、常識に反することを発見することです。
現代文に出題される文章も、必ず常識に反しています。
なのに、教師の多くは常識ばかり教えています。
もちろん、マナーや礼儀は大切ですが、社会に対しては常識から離れて見つめることが子どもの学びには欠かせません。
「禁煙先生」ほど変わり者ではないですが、入試現代文を手がかりに、多様な考え方を培っていただけるよう努めていきたいと思っています。
ラーニング・ウェブの実践
半世紀も前に、イヴァン・イリイチという思想家が『脱学校の社会』という書物を著しました。
そこに書かれた「ラーニング・ウェブ」という理念に感銘を受け、オンライン環境があればそれを実現できると考えたのが設立の理由の一つです。
教えたいことのある個人のもとに学びたい人が集まる。
一方的に教わるのではなく、偶然の出会いによって学ぶ。
「飛ぶ教室」が過去問・現代文を中心とするのは、そうした偶然が起こるのがまさしくここだからでもあります。
講師自身も毎回の授業でたくさんの学びがあります。これからも、生徒と切磋琢磨しながら指導を改善してまいります。