目次
小論文の対策の開始時期
小論文は対策次第で協力な武器になる
普段から小論文も教えている「飛ぶ教室」オンライン家庭教師の東大卒プロ講師けんです。
大学受験生のほとんどは、あまりにも小論文対策を過小評価しすぎていますよね。
極端な場合国公立前期試験が終わったあと、後期に向けて始めるなど、直前まで後回ししてしまっています。
この記事を読んでいる方は大丈夫ですが、「小論文の存在すら意識していない」ということも多いですね。
しかし、小論文は大学受験合格という本来の目的のためにはかなり重要であることは間違いありません。
例えば私の東大生時代の友人は、東大に2年連続不合格となり、二浪の末三度目の前期入試でも不合格。ところが、後期の小論文入試で見事合格を果たしたそうです。
今はもう東大後期入試自体廃止になりましたが、私の友人の例から考えると、
「そもそも最初から本気で後期小論文の対策をしておけば、二浪することもなかったかもしれない」と感じます。
入試の戦略は人それぞれですが、受かりさえすればどんな方法でも構わないですから、小論文を圧倒的な武器にして難関大学に受かることも一つの策なのではないでしょうか。
例えば国公立受験では、予備校で前期二次試験の対策をしつつ、オンライン家庭教師「飛ぶ教室」で小論文の対策を行うというのもおすすめです。
身近に小論文を添削してくれる優秀な先生がいない場合が多いので、オンライン授業は魅力的ですね。
「添削」サービスでもよいのですが、文章自体を訂正するよりも、メタ的に文章の書き方を詳しく教わるべきで、それにはリアルタイムの授業が適していると感じます。
小論文の対策はいつからか:遅くて高3春
テンプレな文章では不合格になる
当たり前ですが小論文の対策はなるべく早期に始めるべきです。
受験直前に始めても、多くの場合書き慣れることができないので、入試の短時間で納得のいく文章を作ることは難しいです。
何よりも、特に難関国公立の後期入試や推薦入試の二次試験などですが、多くの受験生が小論文の対策を後回しにしているため、文章力で他の受験生と差をつけられません。
差をつけるためには、魅力的で創造的な文章でなければなりません。逆に、卓越したオリジナリティがあって説得力があれば、それだけで難関大だって受かることができるんです。
小論文の採点は相対評価です。つまり、他の受験生と比較したときに、採点官にとっていかに魅力的な書き方ができるかが問われています。
直前に小論文対策を始める人のあるあるとして、「小論文の参考書に載っているようなテンプレの文章構成で書きがち」という失敗があります。
「私はコカ・コーラの方が美味しいと思います。なぜならば、第一にペプシコーラに含まれるクエン酸が余計だからです。第二にパッケージカラーが赤い方が好きだからです。結論として、コカ・コーラの方が美味しいです。」
こういうテンプレの文章を書いても採点官には何も響きません。採点官は「主張」→「第一の理由」「第二の理由」→「結論」という参考書に必ず載っている構成を見飽きています。「私は〜と思います。なぜならば〜」から始まるだけでうんざりするほどですね。
接続詞の語彙も貧相だと書きなれていないことがすぐバレます。
もちろん小論文学習の始めは、テンプレートに沿った書き方を身につけるべきですが、そこからいかに逸脱するかも重要です。受験直前からの対策だと、テンプレートを身につけた時期に本番が来てしまいます。じっくり対策するべきですね。
小論文の対策は遅くて高3の春から。
とはいえ、高1や高2から小論文に全力を注ぐのは悪手です。他の科目の勉強もするべきです。
読書量や現代文読解の勉強量が足りていない時期から小論文を書いても実りは少ないです。
小論文の執筆能力はある程度まで、文章を読んできた量と比例します。語彙力や文章のパターンを知らないと、デタラメなことしか書くことができませんからね。
なので、当然日頃から「新聞社説」や「小説」や「新書」など、何でも良いので読書を重ねておくことが前提です、ある程度読書量が溜まってきてから小論文の対策を開始するべきです。
人によってその時期は千差万別ですが、目安としては高3春ころまでに「小論文を書く」準備は出来てきていることと思います。
オンライン家庭教師「飛ぶ教室」では、読書でどんな本を読むべきかについても、生徒それぞれにアドバイスを行っていますが、この記事の下にも本選びの指針を紹介します。
文章力=読解力+執筆力
高3春など、小論文対策を受験早期から始めるべきなのにはもう一つ理由があります。
「文章を書く力」が伸びると、「文章を読む力」の向上にも必ず効果があるからです。
小論文の構成を考えると、文章を構造的に理解する力がつき、翻って現代文読解がスムーズになるといった具合です。
例えば「飛ぶ教室」では現代文マーク問題だけ必要な生徒でも要約を練習してもらっていますが、その効果は絶大です。
受験勉強が本格化する高3の時期に、小論文も同時並行で対策しないのはもったいないですね。
ということで小論文の対策は、遅すぎず早すぎずの高3春ころまでに始めるのが一つの目安だと思います。ただし、以下で解説するとおり、それ以前の読書の質も合否に大きく関わってくるので、参考にしてくださいね。
小論文の具体的な対策方法【フロー知識・ストック知識】
読書は何を読むべき?
フロー型知識とストック型知識の区別をしよう
志望が国公立なのか私立大なのかなど、いろいろな条件で変わってくるとは思いますが、まずは過去問を入手して分析してみるのが大切です。その前提のもので、一般的な対策方法を考えます。
先程も読書が重要と書きましたが、読書で得られる知識には2種類あります。フロー型とストック型です。
そして、実はこの2つの知識の型で大学入試小論文の問題も分類できます。
フロー型知識は、いわゆる「時事」に関する知識で、雑誌や新聞などのメディアや「新書」の一部で得ることができるものです。
その時々によって変わってくる知識なので、消費されると時代遅れになったりします。
一方でストック型知識は、本屋でいつでも置いてあるような種類の書籍に書かれていて、時代にかかわらず普遍的な内容のものです。
小論文では、深い考え方を示すことが評価につながります。
フロー型知識だけでは、本質的な考え方が深まらないので、少し分厚めの本にも頑張って手をだして「ストック型知識」も身につけていきたいところです。
小論文対策でよく言われるのは、「新聞社説を読め」 という説教ですが、今どきの高校生は新聞なんて読まないので、時代遅れな考え方ですね。社説の言葉の大半は深いようで浅いですから。
フロー型知識をつけるために、まずはニュースアプリをスマホに入れておきましょう。
もちろん、芸能ニュースなどが沢山出てくるス◯ートニュースやYah◯◯ニュースはよろしく無いです。
どこでもいいですが、毎日・読売・朝日など、大手新聞社のアプリで、スキマ時間に時事を知るとよいです。日経新聞もよくおすすめされますが、経済・商学系の受験生ならいいかもしれません。
ストック型知識を中心に身につけよう
ストック型知識は、身につけるのは一筋縄ではないです。
まずは新書で、気になったものを本屋か図書館・Kindleで入手しましょう。ちくま・岩波・講談社・中公から選んでください。個人的にはちくま新書がおすすめです(業者ではないです)。
選べない方は、志望校の過去問を何年分か見てください。無料でネットで見れます(東進・パスナビが有名)。過去問の出典を調べて、新書から出ているものを見つけましょう。1冊目はそれで決まりです。
2冊目は、1冊目と関連がある書籍を必ず選んでください。
1冊目で引用されていたり、参考文献として出ていたものなどがおすすめです。
「入試と関係ない分野でもいい?」かまいません。ストック型知識は分野を超えた応用力を持ちます。 文章の書き方も自然と身につきます。
それでも何も思いつかない方向けに、私が最近読んで面白かった&受験で実際に出題されている本を紹介します。
「てよだわ言葉」(「お受験ですわよ」)など、いわゆる女ことばの起源についての本です。
こういう学問的な雰囲気がある本がいいですね。「〇〇学入門」系の新書もおすすめです。
有名人自伝・ビジネス・ネット右翼・ポピュラー科学系の本をなぜか読みたがる高校生もいますが、受験には無駄でしかないです。
さて、次節以降では、フロー型知識とストック型知識の小論文での応用について、慶應大学の出題などを例に解説します。どの大学にも応用できると思います。
ストック型小論文の例:慶応大学文学部
ストック型知識が必要になるタイプの小論文が出題される大学で、有名なのは慶應大学の文系学部()ですね。
例えば慶応大学文学部2022年度小論文を見てみましょう。
課題文の出典は、荒谷大輔『使える哲学 私たちを駆り立てる五つの欲望はどこから来たのか』(講談社選書メチエ)。
タイトルから推察される通り、「ストック型」つまり、時事ではなく普遍的な知識が要求される問題です。
設問では、内容を要約した上で、「正しさ」について論じることが要求されています。
「正しさ」が、時代や場所・社会を超えて普遍的なのかどうか、短時間で考察せよという、ある意味で無理難題が受験生には課されているわけです。逆に時事ネタはほとんど関係がありませんね。
「ストック型」知識系の小論文は、明らかに難しく、「哲学的」。難関文系大学に多いと言えます。
ちなみに、大学院で得られる「博士号」は、理系・文系関係なく英語で”Doctor of Philosophy”(哲学博士)。どんな学問でも、最終的なゴールは「哲学」なのです。
「ストック型」知識系小論文では、ものごとの「そもそも」を問う哲学的思考が重要です。
過去問の詳細には踏み込みませんが、キーワードは「ハーバーマス・公共性・ロールズ・無知のヴェール」などなど。
全く事前知識がないと絶対解けないとはいいませんが、あらかじめ政治について、「保守・リベラル」のそれぞれの理念を知っている方が圧倒的に有利です。
ハーバーマス・ロールズは、政治学で知らない人はいない古典的な学者です。「ストック型」小論文では、こういった古典的な議論についての素地があることを要求されます。
高校生に分かりやすく教えてくれるサービスは希少なので、本を読むのが大変な方は、「飛ぶ教室」オンライン家庭教師を利用してくださいね。
フロー型小論文の例:京都大学総合人間学部
まず断っておきたいのですが、フロー知識を直接必要とする小論文は少ないです。つまり、社説ばかりよんでも仕方がないということ。
フロー知識を知らないと解けない問題は「現代社会」の問題で、小論文ではなくなってしまいます。
時事ネタを議論する問題では、リード文である程度情報が提示されているので、それを参考に解けば大丈夫です。
その上で、
- フロー知識が予め合ったほうが話題の理解が早く解きやすい問題
- 抽象的な課題文に対して、具体的な事例を挙げる問題
の2種類の小論文に、フロー知識が要求されます。
①については、こんな問題は出ないですが例えば、
「ウクライナで戦争が起きたが、そもそも戦争に善悪は関係あるのか」 といったように、時事ネタから抽象的な議論を書くことが要求されるタイプ。
こういった問題は、フロー型知識に加えてストック型知識もなければ満足の行く答えは書けませんね。
つまり、「ウクライナ戦争はアメリカが背後にいる代理戦争の側面もあり、勧善懲悪図式は必ずしも成り立たない」という時事的な知識と、そもそもの「戦争」論的な知識が必要です。
②については、例えば京都大学総合人間学部2021年度入試。
出典は椹木野衣『増補 シミュレーショニズム』(筑摩書房)という芸術論。私も読んだ本で名著です。
設問では、「芸術などで、先行するものを批判する形で生まれたもの」の例を自分で選んで論じることが要求されています。
すなわち、課題文は「ストック型」知識も必要な文章ですが、設問では芸術などに関する時事・具体的な知識=フロー型知識が必要になってきます。
まとめ 小論文の基本は読書と過去問対策
結論としては、フロー型・ストック型知識の両方があることが望ましいですが、ストック型をぶ厚めの本の読書を通して養っていったほうが、様々な小論文に通用する知識・文章力が得られるのでおすすめということです。
そのためには、小論文の本格対策は高3からでかまいませんが、余裕のある高1・高2から、ちょっと背伸びして読書をすることが最適です。
何よりも、小論文は大学・学部によって傾向が強く出ますから、過去問対策を中心に置くことがマストです。
ぜひとも広い知識を持っていて信頼できる講師とともに学んで、最短かつ王道のルートで合格を目指しましょう。
オンライン家庭教師「飛ぶ教室」は無料体験を実施しております。興味のある方は是非お越しください。
ではでは。
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